「モノづくりが好き」「休日はDIYで家具を組み立てるのが楽しみ」 もしあなたがそんな趣味をお持ちなら、その手先の器用さと興味を、一生モノの仕事に変えてみませんか。
私たちの仕事は、住宅の顔とも言える「システムキッチン」を組み立て、設置することです。 一見、専門的でハードルが高そうに見えるこの職業ですが、実は「説明書通りに正確に組み立てる」という点において、プラモデル作りや家具の組み立てと通じる部分が多々あります。
もちろん、プロの仕事ですから趣味とは責任の重さが異なります。しかし、未経験からスタートし、技術を磨いて一人前の職人として活躍している先輩の多くは、元々「何かを作ることが好き」という単純な動機からこの世界に入ってきました。
この記事では、システムキッチンの施工スタッフという仕事が具体的に何をするのか、なぜDIY好きに向いているのか、そしてプロとして働く厳しさとやりがいについて、誇張なくありのままにお伝えします。
そもそも「システムキッチン施工」とはどんな仕事か

システムキッチン施工とは、メーカーの工場で製造された「キッチンの部材」を、お客様の家(現場)で組み立て、使える状態に設置する仕事です。
リフォームや新築の現場において、キッチンは最初から部屋にあるわけではありません。壁も床も仕上がった何もない空間に、バラバラの状態の部品が搬入されるところから仕事は始まります。
皆さんが普段目にするキッチンは、一つの大きな家具のように見えますが、実は細かなパーツの集合体です。 主な構成要素は以下の通りです。
- フロアキャビネット(ベースキャビネット): 調理器具や調味料を入れる下の収納部分
- ウォールキャビネット(吊戸棚): 頭上の収納部分
- ワークトップ(天板): ステンレスや人造大理石でできた作業台
- 加熱機器: ガスコンロやIHクッキングヒーター
- 洗浄機器: 食器洗い乾燥機やシンク、水栓金具
- レンジフード: 換気扇
- キッチンパネル: 壁面の汚れを防ぐパネル
これらは全て段ボールに梱包された状態で現場に届きます。それらを開梱し、図面通りに配置し、ビス(ネジ)で固定し、水平・垂直を微調整しながら組み上げていく。それが私たちのミッションです。
ただ置けば良いというものではありません。水や火を使う場所であるため、わずかな隙間や傾きが水漏れや故障の原因になります。ミリ単位の精度が求められる、非常に繊細な組み立て作業なのです。
具体的な作業フロー:現場での1日
では、実際にどのような流れで作業が進むのか、一例をご紹介します。
1. 搬入と養生
現場に到着したら、まずは搬入経路(玄関からキッチンまでの廊下など)に傷がつかないよう、「養生(ようじょう)」を行います。その後、トラックからキッチンの部材を運び込みます。システムキッチンは数十個の梱包に分かれており、中には非常に重い部材もあります。体力が必要な最初のステップです。
2. 下地確認と墨出し
組み立てる前に、壁や床の状態を確認します。ここで重要なのが「墨出し(すみだし)」という作業です。図面をもとに、壁や床に「ここにキャビネットが来る」「ここの高さに吊戸棚をつける」という基準線を引いていきます。この線がズレていると、完成したキッチンが傾いてしまうため、レーザー墨出し器などを使って慎重に行います。
3. キッチンパネルの貼り付け
コンロ周辺の壁に、耐火性・清掃性に優れたキッチンパネルを貼ります。現場の壁の形状に合わせてパネルをカットし、強力な接着剤と両面テープで固定します。コンセントの位置に合わせて穴を開けるなどの加工技術も必要です。
4. 吊戸棚・レンジフードの設置
基本的には「上から下へ」の順序で作業します。まずはレンジフード(換気扇)と吊戸棚を壁に固定します。これらは重量があるため、壁の中にある「下地(柱などの木材)」を正確に狙ってビスを打ち込む必要があります。
5. ベースキャビネットの設置
足元となる収納部分を並べます。ここで最も重要なのが「レベル出し(水平調整)」です。床は一見平らに見えても、ビー玉が転がるほどの傾きがあることは珍しくありません。キャビネットの脚(アジャスター)を回して高さを微調整し、複数のキャビネットが完全に水平かつ一直線になるように連結します。
6. 天板・機器の取り付け
キャビネットの上に天板(ワークトップ)を乗せて固定し、シンク、水栓、コンロ、食洗機などを組み込みます。
7. 扉調整・仕上げ
最後に引き出しや扉を取り付けます。扉の隙間が均一か、スムーズに開閉するかを確認し、丁番(ちょうつがい)のネジを回してコンマ数ミリ単位の調整を行います。最後にコーキング(隙間を埋めるゴム状の材)を打ち、清掃して完了です。
なぜ「プラモデル感覚」と言われるのか

求人広告などで「プラモデル感覚」という表現が使われるのには理由があります。それは、この仕事が「部品を説明書通りに組み立てるプロセス」そのものだからです。
マニュアルと図面が全ての基本
システムキッチンは、各メーカー(LIXIL、クリナップ、Panasonicなど)ごとに詳細な施工説明書が用意されています。「Aの部品をBの穴に差し込み、Cのビスで固定する」といった手順は明確に決まっており、独自の感覚で勝手に作ることはありません。 図面を見て完成形をイメージし、説明書の手順に従ってパーツを組んでいく。この工程自体は、確かに巨大なプラモデルを作っている感覚に近いものがあります。
必要なのは「特殊な才能」ではなく「丁寧さ」
「職人」というと、長年の勘やセンスが必要だと思われがちですが、システムキッチンの施工に関しては、まず「マニュアルを正しく読み解く力」と「手順を飛ばさずに実行する丁寧さ」が求められます。 DIYが好きな人は、説明書を読みながら完成を目指す工程に慣れているため、仕事の流れをスムーズに理解できる傾向にあります。
工具を扱う楽しさ
インパクトドライバー、丸ノコ、ジグソー、レーザーレベル。DIY好きなら憧れるようなプロ仕様の電動工具を日常的に使用します。道具を使いこなし、材料をスパッと切断したり、ビスを正確に打ち込んだりする爽快感は、この仕事ならではの楽しさです。
趣味のDIYと、プロの施工の違い

しかし、「プラモデル感覚」だけで通用するほど甘い世界ではありません。趣味と仕事の決定的な違いについても、正直にお伝えしておかなくてはなりません。
現場は毎回異なる「応用問題」の連続
プラモデルと最大の違いは、「取り付ける相手(家)の状態が毎回違う」という点です。 新築ならまだしも、リフォーム現場では壁が歪んでいたり、床が波打っていたり、図面通りの寸法が出ていなかったりすることが日常茶飯事です。
「説明書通りに組もうとしたら、壁に当たって入らない」 「床が傾きすぎていて、キャビネットが連結できない」
そんな時、プロの施工スタッフはその場で判断を下します。キャビネットの一部を数ミリ削るのか、壁との隙間を埋める部材を加工するのか。マニュアルには書いていない「現場対応力」こそが、プロの腕の見せ所です。
決して失敗が許されないプレッシャー
DIYなら失敗しても「味がある」で済みますが、仕事では数ミリの傷一つ許されません。お客様にとっては数百万円の買い物です。新築の真新しい床や壁(クロス)を絶対に傷つけないよう、常に細心の注意を払って作業する必要があります。この緊張感は、趣味の作業とは比較になりません。
身体的な負担
システムキッチンは非常に重いです。特に人造大理石の天板や、食洗機などは一人で持つのがやっとの重さです。エレベーターのないマンションの3階、4階まで階段で手運びすることもあります。夏場の現場は空調が効いていないことも多く、汗だくになりながらの作業となります。華やかな完成写真の裏側には、こうした地道な肉体労働があります。
未経験からプロになるまでの道のり

では、全くの未経験者がどのようにして一人前の施工スタッフになるのでしょうか。当社では、段階を踏んで着実に技術を習得できる環境を整えています。
ステップ1:荷運びと開梱・養生(1ヶ月〜3ヶ月)
最初は先輩のアシスタントとして現場に入ります。道具の名前を覚え、搬入を手伝い、段ボールを開梱し、ゴミを片付ける。地味な作業ですが、ここで「部材の名前」と「作業の流れ」を覚えます。現場をきれいに保つことは、良い職人の絶対条件です。
ステップ2:簡単な組み立てと補助(3ヶ月〜半年)
インパクトドライバーの使い方を教わり、比較的簡単なキャビネットの組み立てを担当します。また、先輩がパネルを貼る際の押さえ役や、寸法を測る手伝いを通じて、間近でプロの技を盗みます。
ステップ3:部分的な施工担当(半年〜1年)
「今日は吊戸棚の取り付けをやってみよう」「次はキッチンパネルのカットを任せるよ」というように、徐々に実作業を任せていきます。もちろん、先輩が横についてチェックを行い、ミスがあればすぐに修正できる体制で行います。
ステップ4:1現場を一人で完結(1年〜3年)
一通りの作業ができるようになったら、小規模な現場から一人で任されるようになります。トラブルが起きた時の対処法や、お客様への対応も含めて、一人前の職人としての自覚が芽生える時期です。
人にもよりますが、大体1年から3年程度で一通りの種類のキッチンを施工できるようになります。
私たちが求める人物像
経験の有無は問いません。それよりも、以下のような資質を持った方を求めています。
1. 几帳面であること
数ミリのズレを「まあいいか」と流さず、「気持ち悪い」と感じて修正できる感覚が必要です。見えない部分まで丁寧に仕上げる誠実さが、何よりの才能です。
2. コミュニケーションを大切にできること
黙々と作業する時間も長いですが、現場では監督や他業種の職人さん、そしてお客様との会話が発生します。挨拶がしっかりできること、報告・連絡・相談ができることは、技術以前に社会人として必須のスキルです。
3. 学ぶ姿勢があること
キッチンメーカーの商品は毎年新しいモデルが出ます。新しい機能、新しい施工方法に対して「勉強しよう」という意欲を持ち続けられる方が、長く活躍できます。
最後に:安定した需要のある業界で働く
リフォーム市場は、今後も拡大が見込まれる数少ない成長産業の一つです。 家がある限り、キッチンは必ず古くなり、交換の需要が生まれます。AIやロボット技術が進化しても、複雑なリフォーム現場で、現地の状況に合わせて微調整しながら取り付ける作業は、人間にしかできません。
システムキッチン施工スタッフは、決して派手な仕事ではありません。夏は暑く、冬は寒い現場での作業もあります。重いものを持ち、身体を使う仕事です。 しかし、そこには「自分がこれを作った」と胸を張れる確かな成果があります。そして、身につけた技術は嘘をつきません。
「DIYが好き」 「身体を動かす仕事がしたい」 「将来のために手に職をつけたい」
その気持ちがあれば、入口としては十分です。 プラモデルを作る時のようなワクワク感を持ちながら、プロフェッショナルとしての技術を私たちと一緒に磨いていきませんか?
まずは一度、現場の雰囲気を見に来てください。 あなたからのご応募を、心よりお待ちしています。

