システムキッチンについて調べていると、「フロアキャビネット」という言葉を目にすることがあります。しかし、キッチンのどの部分を指すのか、どのような種類があるのか、分からない方も多いのではないでしょうか。
フロアキャビネットは、システムキッチンの収納を担うだけでなく、シンクやコンロ、ワークトップを支える重要な部分です。設置するときには、ただ並べるだけではなく、図面に合わせた配置やミリ単位の水平調整など、職人の技術が求められます。
この記事では、フロアキャビネットの意味や種類、ウォールキャビネットとの違い、設置作業の流れを解説します。システムキッチンの施工や住宅設備の仕事に興味がある方も、ぜひ参考にしてください。
■フロアキャビネットとは?

フロアキャビネットとは、システムキッチンの床側に設置される収納部分です。「ベースキャビネット」「下台」「下部収納」と呼ばれることもあります。
一般的なシステムキッチンは、複数のフロアキャビネットを横に並べ、その上にワークトップと呼ばれる天板を載せて一体化させています。施工前はシンク用、コンロ用、調理台用などに分かれており、職人が図面どおりに配置・連結・固定することで一つのキッチンになります。
・台輪とは?
フロアキャビネットの下部には、「台輪」と呼ばれる部分があります。台輪は床と収納本体の間に位置し、キャビネットを支えたり、床との隙間を納めたりする役割を持ちます。
製品によっては台輪部分まで引き出し収納として活用されているものもあります。普段は目立ちにくい部分ですが、キッチンの高さや安定性、見た目の仕上がりに関係する大切な構成部材です。
■フロアキャビネットとウォールキャビネットの違い

フロアキャビネットと混同されやすいものに、ウォールキャビネットがあります。
フロアキャビネットが床側に設置されるのに対し、ウォールキャビネットは壁の上部に取り付けられる収納で、「吊戸棚」とも呼ばれます。前者は設備やワークトップを下から支え、後者は壁の下地へ固定するため、設置方法や注意点が異なります。
■フロアキャビネットの主な種類
フロアキャビネットは、設置される場所や組み込まれる設備によって種類が分かれます。キッチン本体は、主にシンクキャビネット、調理台キャビネット、コンロキャビネットで構成されます。
・シンクキャビネット
シンクキャビネットとは、シンクの下に設置されるキャビネットです。内部には給水管や排水管が通るため、配管の位置を考慮した構造になっています。
収納量だけでなく、配管とキャビネットが干渉しないかを確認する必要があります。現場では、事前に施工された給排水設備の位置と、キッチン図面の寸法が合っているかを確認してから設置します。
・調理台キャビネット
調理台キャビネットは、食材を切ったり盛り付けたりする作業スペースの下に設置される収納です。包丁、まな板、ボウル、調味料など、調理中によく使う道具を収納する場所になります。
食器洗い乾燥機を組み込む場合は、専用のキャビネットやスペースを配置します。
・コンロキャビネット
コンロキャビネットとは、ガスコンロやIHクッキングヒーターの下に設置されるキャビネットです。加熱機器の形状や配線、周辺部材を考慮して設置します。
専門資格が必要な電気・ガス工事は、それぞれの専門業者が担当します。キッチン施工職人には、他業種の作業範囲を理解し、現場で連携する力も求められます。
・コーナーキャビネット
L型キッチンでは、角の部分にコーナーキャビネットが使用されることがあります。角は収納物を取り出しにくくなりやすいため、回転式の棚などを組み込んだ製品もあります。
I型キッチンより構成が複雑になりやすく、キャビネット同士の位置や角度を正確に合わせることが必要です。
■開き扉と引き出しタイプの違い

フロアキャビネットの開閉方法は、主に「開き扉タイプ」と「引き出しタイプ」に分けられます。
開き扉タイプは大きな鍋などを収納しやすい一方、奥のものを取り出しにくい場合があります。引き出しタイプは収納全体を手前に出せるため、奥まで見渡しやすく、近年多く採用されています。
施工では、扉や引き出しを取り付けたあと、隙間や傾きを細かく調整します。引き出しがスムーズに動くか、隣の扉と干渉しないかなどを確認する作業を「建付け調整」といいます。
■フロアキャビネットはどのように設置する?
フロアキャビネットの施工は、製品を置いて終わりではありません。完成したキッチンを安全で美しく、使いやすい状態にするため、いくつもの確認と調整を行います。
・搬入と検品を行う
現場に届いたキャビネットの品番、色、数量、設置場所を確認します。傷やへこみがないかもチェックし、床や壁、部材を傷つけないように搬入経路を養生します。
・図面と設置位置を確認する
次に、施工図面を確認し、キャビネットを設置する位置を割り出します。壁や床に示された基準線、給排水管、コンセントなどの位置も確認します。
壁との間に隙間が生じる場合は、フィラーなどの部材で調整します。
・仮置きして水平を調整する
キャビネットを図面どおりに仮置きし、水平器やレーザー測定器を使って高さと水平を確認します。
床にはわずかな傾きや凹凸があるため、一台ずつ高さを調整します。このミリ単位の作業が、ワークトップや扉の仕上がりを左右します。
・キャビネットを連結・固定する
位置と高さが決まったら、隣り合うキャビネットの正面や上端をそろえ、ビスなどで連結します。その後、指定された方法で壁や床に固定します。
一台のズレが全体に影響するため、水平や並びを繰り返し確認します。
・扉や引き出しを調整する
最後に扉や引き出しを取り付け、開閉状態を確認します。扉同士の隙間が均等か、引き出しが水平か、開閉時にぶつからないかを細かく調整します。
見た目と使いやすさを左右する、職人の技術が表れる工程です。
■フロアキャビネットの施工に必要な力とは?

キッチン施工は、部材を運ぶ体力だけで行う仕事ではありません。
図面と品番を照合する確認力、水平や隙間のズレに気づく注意力、部材を傷つけずに扱う丁寧さが必要です。また、一人ですべてを行うのではなく、現場監督や水道・電気・ガスなどの専門業者と声を掛け合って作業を進めます。
現場ごとに寸法や搬入経路が異なるため、状況に応じて考える対応力も必要です。完成品が目に見えるため、大きな達成感も得られます。
「建設業の仕事は力に自信がないと難しいのではないか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、キッチン施工では、力だけでなく正確さや丁寧さ、周囲と協力する姿勢も大切です。
ものづくりが好きな方や、細かな作業に集中することが得意な方にも向いている仕事といえるでしょう。
■未経験者はどのような作業から覚える?

未経験で入社した場合、最初から一人でキャビネットを設置するわけではありません。
まずは先輩と現場に入り、養生、部材の搬入、検品、工具の準備、清掃などの基本作業から覚えます。その後、キャビネットの名称や並び順、図面の見方、水平器の使い方などを少しずつ身につけます。
作業を繰り返すうちに、「この部材はどこに使うのか」「なぜ水平調整が必要なのか」が理解できるようになります。フロアキャビネットの設置は、システムキッチンの構造と施工の基本を学べる重要な仕事です。
最初は聞き慣れない専門用語が多くても、一つずつ部材に触れながら覚えていけば、知識と技術は着実に身につきます。
■フロアキャビネットの設置を仕事にしませんか?

フロアキャビネットとは、キッチンの床側に設置され、収納や設備、ワークトップを支える重要な部分です。
シンクキャビネット、調理台キャビネット、コンロキャビネットなどを正確に並べ、水平を調整して固定することで、システムキッチンの土台が完成します。
あーち株式会社では、滋賀県米原市を拠点に、滋賀県を中心とした新築マンションなどで、システムキッチンや洗面化粧台の設置・交換を行っています。
現在、現場で活躍する職人を募集しています。未経験の方も、先輩の補助をしながら部材や工具の名前を覚え、一つずつ施工技術を身につけられます。
資格取得支援制度も設けているため、住宅設備の仕事を基礎から学び、一生使える技術を身につけたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

